熱を帯びた練習を重ねる団員

 前橋第九合唱団(山田哲夫団長)は25日、年末の風物詩、ベートーベン「交響曲第9番」の演奏会を群馬県前橋市の群馬県民会館(ベイシア文化ホール)で開く。2年ぶりの公演に向けて練習が熱を帯びる一方、チケット販売に苦慮している。例年、出演者を中心にチケットを販売しているが、今回は新型コロナウイルス対策の指針に従い、舞台に立てる人数が通常の約3分の1に限られてしまうためだ。メンバーは一人でも多くの人に「歓喜の歌」を届けようと奔走し、来場を呼び掛けている。

 例年は200人以上がステージに立つが、今回の出演は83人。全日本合唱連盟が示した新型コロナ対策指針では出演者同士の距離を保つよう定めている。これに基づき算定したところ、出演可能人員は最大87人だったという。

 団の信条の一つが「自主運営」。助成などを受けずに、練習会場費をはじめ、本番のオーケストラや指揮者、ソロ歌手への謝礼などのほぼ全てをチケット収入で賄ってきた。第1回の公演から活動する元団長の桑山喜男さん(80)は信条について「何にも縛られず、聴衆に本当に届けたい第九を完成させるため」と説明する。

 演奏会は来年、50回目を迎える。団員は「前橋第九に所属してきた団員は延べ1万人近い。2年ぶりだし、来年への弾みにしたい」と公演の成功を期す。

 思いを受け取ったのは、ソリストとして出演する同市出身のバリトン歌手、今井俊輔さん。今井さんやそのファンクラブ会員が公演案内チラシの配布に協力している。同団事務局は「クラシック音楽の公演で、出演者やファンクラブが開催を支援してくれるのは珍しい」と感謝する。

 佳境に入った練習では、例年よりも少数での舞台を念頭に、山田団長が「全身を使って発声して」「一人一人がソリストの意気で」などと熱を込めて指導。山田団長は仕上がりに手応えをつかみ、「アンサンブルが完成している」と胸を張る。桑山さんは「団員は例年以上の責任感で、必死。一人一人の思いがどんな感動を与えられるだろう」と本番を心待ちにしている。

 今井さんのほか、声楽家団体「二期会」の3人もソリストで出演。指揮者の現田茂夫さんがタクトを振り、群馬交響楽団が演奏する。午後2時開演。チケットはS席4千円など(高校生以下は500円引き)。

 問い合わせは同団事務局(電話027-224-7331)へ。