群馬県伊勢崎市の北関東道で昨年12月、乗用車がガードレールに衝突し女性4人が死傷した事故で、この車に乗用車を接近させて事故を誘発したとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた栃木県真岡市西郷、会社員の男(54)の初公判が24日、前橋地裁(水上周裁判長)で開かれた。男は「公訴事実に間違いありません」と述べ、起訴内容を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、男が事故当時、ダッシュボード上のタブレット端末で動画を流そうとし、操作に気を取られて車線をはみ出したと指摘した。埼玉県内で登山をするため午前3時5分ごろに真岡インターチェンジ(IC)から北関東道に入ったと説明。速度を一定に保つ「オートクルーズ」と呼ばれる運転補助機能を使い、時速100~108キロで走行していたとした。

 真岡ICなどの防犯カメラや、男の携帯電話の位置情報から、事故当日に北関東道を走行していたことを突き止めたという。

 亡くなった桐生市相生町の女性=当時(64)=と、同市川内町の女性=同(56)=の遺族らの供述調書では、突然家族を失った悲痛な思いとともに、「もし危険な運転をして事故を起こさせたのなら、故意の有無にかかわらず人を殺したことに変わりない。厳重に処罰してほしい」との処罰感情が示された。

 後部座席に乗り、肋骨(ろっこつ)を折るなど全治3カ月のけがを負った女性=当時(59)=については、事故当時の記憶が断片的に失われていることが明かされた。

 冒頭陳述などによると、会社員の男は2020年12月13日午前3時50分ごろ、伊勢崎市の北関東道西行きで追い越し車線を走行し、車内に設置したタブレット端末の操作に気を取られて漫然と運転。左後ろで走行車線を走り、会社員の男の車を抜かそうと接近してきていた相生町の女性の車に気付かずに左斜めに進み、女性の乗用車をガードレールに衝突させ、女性2人を死亡、2人に重軽傷を負わせたとされる。

遺族に謝罪、深く一礼

 24日の初公判に、被告の男(54)は黒色のスーツ姿で出廷した。裁判長から起訴内容について問われると、「当時、事故に関わっているという認識はなかったが、検察の客観的証拠によると控訴事実に間違いありません。この場を借りてご遺族におわび申し上げます」と述べ、傍聴席の遺族らに向き直り、「申し訳ございませんでした」と深く一礼した。

 死亡した女性=当時(64)=の夫(66)は上毛新聞の取材に、「(単独事故とみられていた)初期から見れば随分先に進んだ」としつつ、「当時は事故の認識がなかった」とする被告の説明について「納得いかない部分もある。公判は始まったばかりなので様子を見ていきたい」と静かに話した。