桐生第一―仙台育英(宮城) 前半、遮る相手を抑えて前進する桐一の伊豆主将=大阪・花園ラグビー場第3グラウンド(撮影 大橋周平)
桐生第一―仙台育英(宮城) 前半、タックルで相手の突破を止める桐一=大阪・花園ラグビー場第3グラウンド(撮影 大橋周平)

 第101回全国高校ラグビー大会は27日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で開幕して1回戦8試合が行われ、群馬県代表の桐生第一は3―62で前回16強の仙台育英(宮城)に敗れ、初出場した2018年度以来の初戦突破はならなかった。新型コロナウイルスの収束が見通せないことから、開会式は前回大会に続き中止した。

 ▽1回戦

仙台育英 62   19―3   3 桐生第一
43―0

 

桐生第一 0 0 1  3 0 0 0 0  3

       T G P 前 T G P 後 計

仙台育英 3 2 0 19 6 5 1 43 62

 

 【評】桐生第一は仙台育英に攻守で圧倒された。試合開始直後、SH亀田からパスを受けたCTB矢内が守備陣の間を抜けて22メートルラインを突破。反則を誘い、SO鈴木がPGを決めて先制した。前半は3トライに抑えたが、後半は仙台育英の展開ラグビーに対応できず、6トライを献上。保持したボールをつなぎ切れず、ノートライに終わった。

前半の好機生かせず

 守備力を武器に2大会ぶりの大舞台を戦った桐生第一だったが、積極的に展開する仙台育英に力負け。前半の好機を生かし切れず、霜村誠一監督は「ところどころのひずみが最後は大きくなってしまった」と振り返った。

 一昨年、昨年の練習試合で大差で敗れた相手。FWの総体重は30キロ以上、下回る。だが試合開始直後のセットプレーからCTB矢内大翔がステップを踏んで敵陣を突破、SO鈴木成昌が「ここで勢いをつけたい」とPGを選択し、先制した。

 自陣深くに入り込まれても、ロック伊豆純主将は「ディフェンスからプレッシャーを」と低く重いタックルで立ち向かった。ロック清水大我も「ベストなプレーは出せた」と言い切るハードワークで貢献した。広く展開する相手にフッカー市川翔大はマークを外さず、前半25分までは1トライしか与えなかった。

 だが反撃に転じかけた場面でスクラムからの連係が乱れてインターセプトを許し、2本目のトライを献上。流れを渡してしまった。

 春の県高校総体の敗戦からチームを立て直し、県予選決勝で7―0の接戦を勝ち抜いた。その過程で得た経験は今後に生きる。今大会のスタメンから新チームに残るのは8人。新主将を担うフランカー藤生康太郎は「先輩を見習って体を張るプレーをしたい。一試合戦えるメンタルとスタミナを鍛えていく」と誓った。

ロック伊豆主将、プレーでけん引

 桐生第一のロック伊豆純主将は最後までプレーでチームをけん引した。中学3年の時に花園ラグビー場で観戦した初出場の桐生第一に憧れて入学、同じ舞台で躍動した。

 象徴的だったのはチーム最初のアタック。試合開始直後のラインアウトからパスを受けると「一人でも多く倒してチームの流れをつくる」と激しいキャリーで押し込み、先制PGにつなげた。

 口数は多くない。その分、練習や生活で積極的な姿勢を示してきた。バックスをまとめるWTB秋田颯祐やムードメーカーのフッカー市川翔大らにも助けられ「周りが声を出してくれ、一人一人がリーダーシップをとっていた」と、仲間とともにつくり上げたチームを誇った。

 卒業後は全国大学選手権で過去に9連覇も成し遂げた強豪・帝京大に進学する。FWとしてスキルを高め「将来はプロを目指していく」と次のステージを見据えた。

元代表・広瀬氏ベンチで見守る 外部コーチ

 桐生第一ベンチには元日本代表主将の広瀬俊朗氏の姿があった。リーダーシップ育成の外部コーチとして2018年に同校が花園に初出場した時からチームに携わっている。

 広瀬氏は「良い主将がいるチームは勝てなくても、満足感や楽しさがあった。自分が主将の時はどうしたら良いのか悩むことが多かった」と自身の経験に基づき、リーダーの重要性を考えるきっかけを与えている。

 今年は3年生5人が広瀬氏から学び、新チーム発足時にはコミュニケーションの少なかった選手たちが、県予選決勝前には積極的に意見を交わすようになった。FWリーダーのフランカー大槻音和は「自分の持ち味や、理想のリーダー像が分かった」と話す。

 試合前、選手には「自分たちがやってきたことに注力したいね」と広瀬氏は語り掛けた。試合に敗れはしたが、選手の表情はすがすがしかった。