動態保存に向けて整備されることが決まった上信電鉄のデキ

 「上州のシーラカンス」の愛称で親しまれる国内最古級の電気機関車「デキ」が動態保存に向けて整備されることが28日、分かった。2017年以降、走行できない状態が続く中、所有する上信電鉄(群馬県高崎市鶴見町、木内幸一社長)が観光庁の補助金を受けて修理に着手する。全国にファンも多いことから同社は「動くデキ」を核に周辺の観光振興につなげたい考えだ。

 デキはドイツ・シーメンス社が製造。上信電鉄の電化に合わせ1924年に輸入された。凸型の車体が特徴で主に貨物輸送を担い、94年に定期運行を終えた。当時輸入された3両のうち、2号機は富岡市内の公園に展示されている。大正、昭和、平成の時代を駆けた1号機と3号機はイベント運行を中心に雄姿を見せ続けていた。

 鉄道ファンが資金を出して写真撮影用に運行されることも多かったという人気の機関車だが、2017年に1号機でブレーカーの故障が発生。以後、安全面から同じ構造の3号機も含めて走ることはなく、高崎駅構内に置かれたまま、整備が手付かずの状態が続いていた。

 「デキは97歳。電化当初の機関車で多くの人に愛されている。何とか100歳まで運行したい」と話す木内社長や社員らの熱意もあり“復活”を模索。運行再開を望むファンの声も後押しした。

 既存の部品が調達できないことなどから、本格的な運行を目指すと、資金面や安全面でハードルが高いため、駅構内でのデモンストレーション的な運行に絞る形にした。駆動は連結する電車が担い、デキ側で車のアクセルに当たるノッチやブレーキなどの制御を行うように3号機を整備し、塗装も新たにする。

 同庁の「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業(交通連携型)」の補助金約2700万円の交付が今月決定。デキ整備のほか、沿線の上野三碑と連携した観光振興、イベント開催などに充てる。

 同社は「2月に予定するイベントで、塗装後の姿だけでもお披露目できれば」としている。