▼「無事」の文字が掲げられた床の間。通い慣れたお茶の稽古場で、掛け軸を真っすぐ見上げながら今年を振り返った。気忙しい年末において、心穏やかになるひとときだ

 ▼コロナ下、茶道を取り巻く環境は一変した。茶わんで濃茶を回し飲み、客同士で懐石料理を取り回す茶事や、大人数が集まる茶会など3密になりやすい集まりを見合わせる状況が続く▼県外の家族や友人と会うこともままならず、暮らしぶりも以前と変わった。うれしい変化もあった。身近な自然に親しむ機会が増え、今冬は上空をV字形の編隊を組んで飛ぶハクチョウたちにも出合えた

 ▼休日の朝、館林市中心部の城沼に足を運ぶと、群れの1羽が首を伸ばして周囲を見渡し、羽を大きく広げて合図を送るようなしぐさを繰り返していた。観察を続けて1時間後、二十数羽が横一列に並んだかと思うと、鳴き声を掛け合いながら一斉に飛び立った

 ▼向かったのは、同市と邑楽町にまたがる多々良沼。春にシベリアへ戻るまでの間、群れは二つの沼を行き来しながら暮らす。地元住民にとっては見慣れた光景も、よそでは見られない価値ある宝だと気づいた

 ▼今年も残すところわずか。何はともあれ、無事に過ごせたことに心から感謝したい。新型コロナウイルスの「オミクロン株」の市中感染が全国各地で確認されている。もう一度、気を引き締め直して年末年始を過ごそう。