▼「数へ日の欠かしもならぬ義理ひとつ」(富安風生)。「数へ日」は、今年もあと幾日と、指折り数えるほど暮れが押し詰まったこと。年末のせわしない心持ちを巧みに言い表す季語だ

 ▼そんな時季、何としても年内に決めておかなければ、という関係者の思いが伝わってくる出来事が相次ぐ。当初計画が白紙撤回となった新国立競技場の建設デザインがようやく決まったこともその一つに見える

 ▼2020年開催の東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアム。応募2案から、建築家の隈研吾(くまけんご)氏のデザインしたものが選ばれた。決め手は、最大の懸案となった工期短縮の実現可能性だったという

 ▼審査結果では、一方の案のほうが評価の高い項目もあったが、これ以上の遅れは許されないという考えが優先されたようだ。もちろん工期を守り、コストを縮減することは大前提だ。しかし、いくら追い詰められたとしても、拙速は困る

 ▼「建築は、もう一度、人間を自然、歴史に結びつける働きをしてくれる大きな可能性をもっている」。県内でも、富岡市新庁舎(本年度着工)などの設計を手掛けている隈氏は昨年5月、前橋市であった講演会でそう述べた

 ▼新デザインは、日本らしさを強調し、神宮の森との調和も考慮している。将来を見通して、自然、歴史を重視した競技場になればと願う。