▼〈杖先(つえさき)の石ころとても冬至かな〉。昨年亡くなった元ハンセン病患者で、栗生楽泉園(草津町)に入所していた村越化石さんの句だ。視力を失っていたが、皮膚感覚で季節の節目を感じ取ったのだろう

 ▼例年にない規模の“ゴジラ・エルニーニョ”の影響か、日本列島は暖冬が続く見込みだという。前橋の初霜が観測史上、最も遅くなったのもその表れかもしれないが、太陽はいつも通り暦を刻んでいる

 ▼きょうは二十四節気の冬至。昼の時間が最も短くなることから、かつては「死に一番近い日」とされた。この日に厄を払い、無病息災を祈る風習もそんな自然現象への畏怖から生まれている

 ▼ユズ湯につかるのは、その香りで邪気を払い体を清めるみそぎ。カボチャ=南瓜(なんきん)、ニンジン、うどん=饂飩(うんどん)など「ん」が二つつくものを食べるのは、運気と根気を吸収するという縁起担ぎの意味がある

 ▼冬至の行事食の素材として本県の特産品、こんにゃくを使う地域も多い。一陽来復の節目に、僧侶が1年間にたまった煩悩とともに体内の砂(老廃物)を排出するため食べていたことに由来するという

 ▼増殖して肥大化した煩悩を取り除くには、精神の修養も必要になってくるだろう。日ごろの鍛錬を怠っている身には、こんにゃくの「砂おろし」で、せめて体内だけでもきれいに掃除しておきたい。