▼「まえさん」と聞くと、懐かしいという人も多いと思う。前橋市中心部にあった前三百貨店のことだ。30年前の12月、オイルショック後の経営不振や大型店の競争激化により20年余りの営業に幕を閉じた

 ▼中心商店街がにぎやかだった昭和の古き良き時代に未来のヒントはあると、13日まで市中心部で前橋昭和博覧会と銘打ってさまざまなイベントが行われている

 ▼その中の一つとして前三跡地に立つ前橋テルサで「あの賑やかな時が蘇る 前三百貨店復活祭」が開かれており、エレベーターガールやデパートの外観写真、包装紙、チラシ広告が展示されている

 ▼元従業員でつくる前三会の会員が大切に保管していた品で、見に来た人からは「屋上の遊園地で遊んだ」「デパートの食堂で食事するのが楽しみだった」と思い出話が次々に飛び出す

 ▼前三会の屋代襄会長(78)は「東京まで出掛けなくても、前三で都会と同じように買い物ができると、県内各地からお客さんが来てくれた」と振り返る。開業初日には約5万人が訪れたというが、時とともに客足は減り撤退、中心商店街は大きな痛手を受けた

 ▼はやりすたりの早い今の時代に、にぎわい創出の決め手はなかなか見つからない。だが、商店街に何とか足を運んでもらおうと、今回のイベントのような知恵を絞る商店主の思いは伝わってくる。