▼客の宴席にはべり、座を取り持つなどして遊興を助ける男を幇間(ほうかん)、あるいはたいこ持ちと言った。この幇間をなりわいとする久蔵は客を次々としくじり、裏長屋で貧乏暮らしをしているが、なけなしの銭をはたいて千両富の札を1枚買う

 ▼歳末落語を代表する『富久』は、しくじった上客の機嫌を取り結び、借金返済のため一獲千金を夢見る幇間を、喧嘩(けんか)とともに江戸の華といわれた火事が一喜一憂させて笑わせる

 ▼師走に入り、運よく一番富(1等)を射止めた久蔵にあやかろうというのか、年末ジャンボ宝くじ売り場に老若男女が詰めかけているようだ。発売初日の印象を前橋市内の銀行の担当者は「例年と比べ、100枚など購入枚数の多い方が目立つ」と本紙に語っていた

 ▼1等・前後賞を合わせた賞金が史上最高の10億円となったことが大きいのだろう。それに特別賞(70万円)1万800本を用意していることも人気の理由か

 ▼特別賞は終戦間もない1945年10月の宝くじ発売から70周年に当たることから用意された。ちなみに戦災復興を目的とした45年の1等賞金は10万円だった

 ▼それが年末ジャンボに限ってみても、1等は89年6000万円だったのが2012年には4億円に、ことしは7億円に跳ね上がった。戦後70年の歩みを映す賞金の推移は庶民の夢を膨らませずにはおかない。