▼「キリバスはとても小さな環礁で、満潮時はわずかな土地しか残らない。この数年、海水が侵入して作物と飲み水が失われ、いくつかの集落が移動した」

 ▼中部太平洋にある島しょ国キリバスは海抜平均が2メートル未満。地球温暖化による海面上昇で水没の危機にある現状をアノテ・トン大統領はこう説明する

 ▼だが、温暖化対策に世界各国が一丸となることができなければ、各国の指導者は大統領と同じ危機感を共有することになりそうだ

 ▼米国の非営利研究組織によると、温室効果ガスの排出量がいまのペースで増え、産業革命以降の気温上昇が4度になった場合、現在6億2700万人が暮らす土地が 海面上昇で水没。日本も3400万人が影響を受けるという

 ▼国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が30日、パリで始まる。焦点は実効性に問題があった京都議定書に代わる2020年以降の新たな枠組みをすべての国が参加してつくれるかどうかだ

 ▼国際社会は産業革命前からの気温上昇を2度以内に抑える目標を掲げるが、各国が打ち出した温室効果ガスの削減目標では2度以内を達成することはできない。負担をめぐる先進国と途上国の対立や途上国への資金援助などの課題もある。だが、それらを克服できなければ、未来により良い地球環境を残すことはできない。