▼取り遅れていた夏休みを利用し、京都を訪ねた。古都への旅は通算で十数回に及ぶが、いつも足を運ぶ場所がある。三条大橋のたもとにある江戸時代中期の思想家、高山彦九郎の銅像前だ

 ▼新田郡細谷村(現太田市細谷町)で生まれ、吉田松陰や西郷隆盛ら幕末の英雄たちにも影響を与えたとされる彦九郎。京都御所に向かって拝礼する銅像を目の当たりにすると、上州の大先輩の真摯(しんし)な姿に感動すら覚える

 ▼上州にちなんだ偉人と言えば幕末の幕臣、小栗上野介を忘れてはなるまい。数多くの奉行職を歴任し、日本の近代化を推進しながらも隠せい先の群馬郡権田村(現高崎市倉渕町権田)で官軍により罪なくして斬られた

 ▼歴史対談集『名将と参謀―時代を作った男たち』(中公文庫)の中で、歴史家の山内昌之さんは小栗をこう評価する。「小栗の死ほど残念なことはありません。明治新政府に仕えていたら、どれほど新生日本のために貢献したか」

 ▼フランス人技師を招いて横須賀製鉄所の建設に尽力した小栗をたたえる企画展が横須賀市で22日まで開かれている。小栗の墓とゆかりの品がある高崎市倉渕町権田の東善寺や顕彰会が協力、展示用に多数の関係資料を現地に送った

 ▼倒幕、佐幕という考えの違いこそあるが、国を強く案じた彦九郎と小栗。2人の姿勢に学ぶ点は今なお多い。