▼高崎市の映画館で目下上映中の「エール!」はフランスの田舎町で酪農を営む一家の話だ。女子高生のポーラ以外、父も、母も、弟も耳が聞こえない。唯一の健常者である彼女が手話を通して家族と周囲の人々をつないでいる

 ▼ある日、ポーラの歌声に音楽の才能を見いだした音楽教師がパリの音楽学校への進学をすすめる。だが、家族に歌声は聞こえないため、才能を信じられない。ポーラは自らの役割をなげうって夢を実現させるべきか、思い悩む…

 ▼結末はご覧になっていない人のために省くが、映画は手話が物の名前や考え、思いを手指の動きや表情を使って表現する言語であることを再認識させる

 ▼といっても、手話が言語の一つと位置付けられるようになってまだ10年にも満たない。国連総会で採択された障害者権利条約や日本国内の障害者基本法の改正、条約の批准がその契機となった

 ▼この手話を言語として認め、障害者や健常者に普及させることなどを盛り込んだ条例を整備する動きが各地で進む。一昨年秋の鳥取県を皮切りに、本県もことし4月から施行。前橋市でも12月議会に条例案が提出される見通しという

 ▼全日本ろうあ連盟などは手話に関する権利を保障すべきだとして手話言語法の制定を求めている。相次ぐ条例制定は国の法整備を促すことにつながるのだろうか。