▼桐生市出身の写真家、石内都さんが米ロサンゼルスで写真展「戦後の影」を開催中だ。思春期を過ごした横須賀の作品や広島の被爆者の遺品を撮影した作品などを展示している

 ▼特に原爆犠牲者の遺品を撮った作品には「悲劇だ。強いインパクトを受けた。驚いた」「こんな悲劇的な結果は必要なかったのに」などの声が聞かれるという(先月31日付東京新聞)

 ▼同じ被爆地である長崎市で開かれていた科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」の世界大会はきのう、「長崎宣言」を発表。核兵器保有国に廃絶を確約するよう求める一方、「核の傘」に依存する非核保有国にも安全保障政策の変革を促した

 ▼ところが、廃絶の前途は険しさを増す。国連総会第1委員会(軍縮)が2日、世界の指導者などに被爆地訪問を奨励する廃絶決議案を採択したものの、禁止条約制定につながることを警戒して昨年は賛成に回った保有国の米国、フランス、英国などは棄権

 ▼決議を主導した日本も安全保障面で米国の核抑止力が不可欠との考えから、禁止条約に消極的な立場を崩していない

 ▼「長崎宣言」は強固な道徳心と倫理観がなければ人類は生き延びることはできないとした上で「あなたがたの人間性を心にとどめ、その他のことを忘れよ」と訴えた。各国の指導者がこの訴えに耳を傾ける日は来るのか。