▼ハンガリーの首都、ブダペストを観光で訪れた。ドナウ川の夜のクルーズで見た夜景は、両岸の国会議事堂や教会、丘の上の城、いくつもの橋がライトアップされ、さすが「ドナウの真珠」と周囲の客もうなった

 ▼翌朝、バスでオーストリア国境に差し掛かったとき、何百人もの人が検問所前の広場でたたずんでいた。ガイドの説明ではシリアからの難民。足止めの様子を報道で知ってはいたが、目の当たりにすると、心が痛み、観光気分は吹っ飛んだ

 ▼住み慣れた祖国が戦禍で荒れ、着の身着のまま逃れる人たち。受け入れに積極的なドイツを目指す大きな流れの一方で、その途中では受け入れを拒否する国もあり混乱は続く

 ▼難民に手を差し伸べたくても、日本からは有効な手だてが浮かばない。世界共通のそんな思いを受け止めるように、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が「難民の五輪出場を認める」と国連総会で表明した

 ▼出場を目指す競技者に限らず、多くの難民に希望をもたらしたはずだ。国家に属していなくても平等に戦える。世界から人権を認められている証しにもなろう

 ▼ブダペストはドイツやオーストリアへ向かう国際列車の駅があり、難民が集まる。美しい景色とは対照的に警官とにらみ合う様子は切ないばかりだ。平和の尊さをあらためて痛感する。