▼大相撲の行司は他のスポーツの審判とは少し趣を異にする。取り組みを裁くとはいえ、最終的な判定や責任は土俵下に控える審判員の親方が担う

 ▼ホイッスルを吹いて試合を開始するわけでもない。勝負が始まるのは、70センチ間隔で敷かれた仕切り線をはさみ、両力士の呼吸が合った時だ

 ▼デザインの酷似が指摘され、後に白紙撤回された東京五輪公式エンブレム問題に端を発した太田市の文化交流施設「おおたBITO太田市美術館・図書館」のロゴ使用断念(3日付本紙)の経緯を振り返った時、大相撲の立ち合いを 思い出した

 ▼五輪エンブレムと制作者が同じロゴは、インターネット上で類似デザインが指摘された。米デザイナーは自身の作品との酷似を主張した。市当局は当初、「似ていると思わない」と使用継続方針だった

 ▼ときに特定の事象への集中砲火の様相を呈するネットでの議論に関する是非はさておき、ネットを含めた世論との「呼吸のずれ」から、施設そのものの評価に悪影響が及びかねない懸念もあった。結局、市民アンケートを経て使用しないことが決まった

 ▼もともと、設計段階から市民参加のワークショップを行い、フロア配置や蔵書内容など市民の声を十分に反映させる試みをしてきたBITO。市民の期待とぴたりと 合った「立ち合い」でスタートしてほしい。