▼〈落葉掻(か)くまで大人びし/いたいけな子に母はなく/父は庄屋へ米搗(つ)きに/留守は隣へことづけて/連(つれ)もなければ只ひとり/裏の林で日を暮らす〉。前橋生まれの民謡詩人、平井晩村の「落葉」を刻んだ詩碑が前橋公園にある

 ▼父の病死と母親の再婚により、祖父母に育てられた。「落葉」の詩に悲哀が色濃く漂うのは、両親の愛情を知らずに過ごした幼少期が影響しているのかもしれない

 ▼東京で新聞記者を務めた後、文筆業に専念。旧制前橋中学(前橋高校)の校歌、民謡「草津節」の原形を作ったことでも知られる。「落葉」を収めた第1詩集『野葡萄(のぶどう)』を刊行したのは100年前の1915(大正4)年だった

 ▼17年に妻を病気で亡くし、幼子3人を抱えて故郷に舞い戻る。このころ、晩村の体も結核にむしばまれていた。翌18年、上毛新聞に連載した随想「一日一筆」に子を思う心情をつづっている

 ▼〈せめて-親のない子-と指さされぬだけの強い精神(こころ)と壮健(たっしゃ)の身体を授けて置いて遣(や)りたい所存である〉。子どものために命を削って詩や民謡、歴史小説を書いたが19年に力尽きる。35歳だった

 ▼食欲の秋、そしてスポーツの秋真っ盛り。体と向き合う機会が多くなるが、猛暑から一転して涼しくなったことしは“秋バテ”している人が多いという。子どもと家族のためにも健康に留意したい。