「2年近くの経験を生かし、さらに上手にコロナと付き合えるのではないか」と語る釜萢さん(撮影 入山亘)

 新型コロナウイルス感染症と向き合う生活は3年目に入る。日本医師会常任理事の釜萢敏さんは、基本的な対策の継続を求めつつ、正しい情報の把握に努めることが重要と指摘する。今年は積み重ねた経験が生かされ、これまでより暮らしやすくなると見通す。

 ―全国でワクチン接種が進んだ。今後の感染拡大との関連をどう捉えるか。

 群馬県内のワクチン接種は、非常に早い段階で開設された県営接種センターを含め、体制がしっかり取られていたため、全国的にも速く接種が進んだ。県民の一人としてうれしく思っている。

 ワクチンは特に重症化を防ぎ、死者を減らす効果は十分期待できる。3回目の接種を進めると同時に、2回目までを未接種の希望者もワクチンを打てるので、接種をお願いしたい。

 一方、感染予防という面では、時間の経過により効果が低下すると懸念されている。例えば8割の人が接種すれば安心できると、一概に言えないのもコロナの特徴だ。感染や接種により社会全体が免疫を獲得することが当初は期待されたが、海外では人口の大多数が免疫を獲得しても再び大規模な感染が起きる事例もある。コロナの場合、集団免疫という考え方は分からないのが現状だ。

 ―パンデミック(世界的大流行)を経験し、世界や個人のレベルで何が求められるか。

 一つの国だけで対策を確立できることはあり得ない。資金力がある国が自国だけで対策をしても安全は保たれない。世界規模で感染制御を目指す必要がある。ワクチンや今後の治療薬は、自国分の確保はもちろんだが、世界で必要な場所に確実に届けることが重要になる。全世界的な視野を持たなければ、自国の対策もおぼつかなくなる。

 メディアやSNSを通じて、たくさんの情報が発信された。適切な情報だけでなく、後に振り返ると誤りと分かった情報もあった。常に本当に正しいのか修正する柔軟性が必要になる。ワクチン接種では不正確な情報も流布された。さまざまな情報の把握に努めつつ、後に誤った情報になる可能性も考えることが身を守ることにつながる。

 ―2022年の状況をどう展望するか。

 正確に見通すのは難しいが、2年近くの経験を生かして、さらに上手にコロナと付き合えるのではないか。かなりの制限を受けてきた経済活動も、従来ほどの制限を受ける状況は減ると予想している。

 ただ、医療が逼迫(ひっぱく)した場合に一番問題となるのはコロナ以外の医療が受けられなくなることだ。従来の医療を維持しながらコロナにも対応するには、スマートに対策を進めなくてはいけないと強く思う。

 22年はこれまでより生活しやすくなるだろうと思う。接種率が高くなったから安心と捉えず、接種後もマスクの適切な着用や手指消毒、密の回避、換気の徹底といった基本的対策をしっかり続けてほしい。県民の皆さんには、ご理解いただけると信じている。

 かまやち・さとし 高崎市医師会で会長などを歴任し、2014年から日本医師会常任理事。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会、基本的対処方針分科会の委員も務める。小泉小児科医院(同市)院長。18年に藍綬褒章。日本医科大卒。同市在住。68歳。