▼大漁旗が掲げられた会場の手前から、老若男女が長い行列をつくっていた。都内の赴任先近くで開かれた「目黒のさんま祭」。友好都市の宮城県気仙沼市から前日に水揚げされたばかりの新鮮なサンマ約5000匹が次々と炭火で焼かれ、無料で振る舞われた

 ▼「サンマは目黒に限る」。秋の恒例行事は、殿様が目黒で初めて食べたサンマの味が忘れられないという落語『目黒のさんま』にちなんで1996年に始まり、20回目を迎えた

 ▼この旬の味覚が穏やかならぬ状況にある。資源量減少への懸念が高まっているためだ。原因ははっきりしないが、北太平洋の公海上で台湾や中国が日本の漁船の数倍もある1000トン級の大型船でサンマを取っており、それが一因との指摘もある。一昨年の漁獲量は台湾が初めて日本を抜いた

 ▼国際的に協議する北太平洋漁業委員会は今月、都内で初会合を開き、日本、台湾、中国など6カ国・地域が出席してサンマの資源保護で合意した。資源量を維持できる漁獲量を2017年中に算定するという。早期に対策を講じる必要があるだろう

 ▼県内のスーパーチェーンによると、ここ最近のサンマの店頭価格は天候不順の影響もあって例年の2、3割高となっている

 ▼大衆魚のサンマがいつの日か高級魚に。そんな時代が到来すれば、伝統のさんま祭の継続が危ぶまれる。