▼連休明け、思わぬ朗報が飛び込んできた。高崎市にある国特別史跡「上野三碑(こうずけさんぴ)」がユネスコ記憶遺産の国内候補に選ばれた

 ▼日本の古代社会や東アジアとの交流を記録した貴重な資料と評価され、申請があった全国の16件から絞り込まれたという。2017年の国際諮問委員会で可否が審査される

 ▼本県では昨年秋、官民による登録推進協議会が発足し、県民運動が動きだしたばかりだった。しかし、ここに至るまで、三碑のもつ普遍的な価値を認め、発信や保存に力を尽くしてきた多くの県民の積み重ねがあった

 ▼その代表の一人が初代県令の楫取素彦(かとりもとひこ)である。明治期に碑に注目し、保護を進めたことが地元住民の意識を高め、ほとんど損傷なく残された大きな理由となった

 ▼思い出すのは07年1月、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産の国内候補(暫定リスト)に選ばれたときのことだ。2年前から登録運動が始まったものの、県民の多くは半信半疑の状態だった。しかし、これ以来、関心が急激に高まり、運動が盛り上がった

 ▼今回の国内候補選定は、本登録前の第一関門を通過したにすぎない。県民が「自分たちの遺産」という意識で、誇りをもって語れるような運動としていくには、まだ多くの課題がある。そこで「絹産業遺産」をめぐる取り組みが生きるのではないか。