▼未明まで続いた与野党の攻防の末に安保関連法が成立した。これにより、歴代の政権が禁じてきた集団的自衛権の行使が可能になる

 ▼採決に先立つ討論に耳を傾けた。民主党の福山哲郎氏は「立憲主義、平和主義、民主主義、戦後70年の歩みにことごとく背く法案を違憲と断じる」と厳しく指摘した

 ▼続く自民党の石井準一氏は「日米同盟をより強固にし、戦争を未然に防ぎ、わが国の安全をより確実にできる」と述べた。世論調査でも国論を二分していた安保法制をどうとらえたらいいのか。平和主義はどうなるのか

 ▼手元にあった憲法学者、杉原泰雄氏の『平和憲法』(岩波新書)を開いた。30年近く前に出合い、戦争の放棄と武力の不保持を決めた第9条の意義をあらためて教えられ、感銘を受けた覚えがある

 ▼初心に立ち返る思いで読み返すと、〈憲法から離脱する政治〉の動きの責任は、権力担当者だけではなく、自身を含む研究者、国民にあるという記述に、はっとした

 ▼日本は戦後、経験したことのない大きな曲がり角に立つ。憲法学者の多くが9条の解釈を変える 安保法制を憲法違反とするなか、道はどこに向かうのか。「いつか来た道」へと進まないためには、わたしたちが憲法の意義を自覚したうえで、〈1票を行使し、政治を監視する〉こと、それが 第一歩になるのではないか。