▼「この子はやはり持っているんだなと思った」。8月のパ・リーグ月間MVPを聞いた前橋育英高の荒井直樹監督が、高橋光成投手の快挙にそんな感想を寄せた。全国優勝の階段を共に上がった2013年夏を思い返すように

 ▼「持っている」と言えば、同じく甲子園で頂点に立った太田生品中出身の斎藤佑樹投手が思い浮かぶ。2010年11月、主将で臨んだ早大4年の秋に東京六大学リーグを制して「何か持っていると言われてきたが、それは仲間だった」と決めたひと言が印象的

 ▼実力があっても結果にはつながらない。そんなアスリートを何人も見てきた。目標を定め、やってのける人。一方で、もう一歩で逃す人。その差は何か

 ▼本人の資質に加えて、運や巡り合わせの恵みも必要だろう。それがつまり「持っている」ということのようだ。野球のようなチームスポーツはなおさら一人の力だけでは結果をつかめない

 ▼西武の潮崎哲也2軍監督は高橋投手の入団直後から直球の威力と変化球の切れ、特に縦のスライダーが一級品だと指摘していた。だが、2軍の成績は振るわず、今季の1軍登板は難しいとの見方も広がっていたときの躍進だ

 ▼高橋投手は大観衆の前のほうが気持ちが乗るという。そんな精神的な強さはプロ向きだ。資質は十分。どこまで持っているか。終盤戦にわくわくする。