▼先月末から今月にかけ、新聞社で職場体験を希望する中学生を何度か預かった。インタビューや写真撮影に苦戦しながらも積極的に取り組む姿勢に感心した

 ▼実際に原稿も書いてもらった。1~2日間のわずかな体験の上、慣れない作業で完全な内容は望むべくもないが、原稿に手を入れていて気になったのが「主語」がきちんと書かれていないこと。「行う」のはだれか、明確でない例が少なくなかった

 ▼「めでたく結婚した」は「結婚した」に改めた。慶事がめでたいのは一般的に疑いようがない。巧みな修飾は文章を美しくみせることもある。ただ、過剰な修飾は焦点をぼやけさせ、あいまいさや誤解を生むこともあるということを伝えたかった

 ▼「主語」は先月14日に発表された戦後70年の安倍晋三 首相談話でも話題になった。同15日付本紙は「おわび」などに関して〈自らを主語としての明言ではない〉と論説に書いた

 ▼似た言葉に「主体」がある。東京五輪・パラリンピックの大会組織 委員会は1日、大会エンブレムの使用中止理由を「国民の理解が得られない」とした。主体性が感じられず、国民の判断に 責任を転嫁している感すらある

 ▼新国立競技場の建設も併せ、責任の所在、いわば「主語」が判然としないまま事が進むのは分かりやすさの点でもプラスにならないだろう。