地酒とは、各地で醸造され、地域に根付いている日本酒を指しますが、実態は少し違ってしまっています。

 群馬の地酒の県民消費量を推計するため、単純に、本県の地酒の生産量を20歳以上の人口で割ってみたところ、1人当たりの消費量は1週間当たり30ミリリットル程度という結果になりました。

 群馬の地酒は県内だけでなく、全国、海外にも出荷されています。県内よりも県外で人気があり、生産量の半分以上を県外に出荷しているところもあるようです。そこから考えると、実態はさらに少ない消費量だということが分かります。

 地酒の県民消費量は1週間当たり、皆さんおなじみの乳酸菌飲料(65ミリリットル)の半分にも満たないことになります。

 この数字をご愛飲の方が聞くと「自分は県民何人分の量を飲んでいるのだろうか」と驚くかもしれませんが、それほどまでに限られた方にしか飲まれていないのが実態のようです。

 日本酒は、日本に稲作が伝わって以来、自然の力を生かした発酵技術の研さんによって生み出された日本特有の酒であり、日本の文化、伝統です。地域の風土によって醸造され、地域の人に愛されてきた地酒も、人口や飲酒量が減少し、さらにアルコール類がバラエティーに富んだ現代では、ごく一部の方に愛されるものになってしまっているようです。

 昨年お会いした広告代理店の方が「日本酒はアウェーだ」と話していました。一般的に皆に好まれ、扱われている日常品を「ホーム」と捉えた場合の逆の意味として使われたのだと思います。

 地酒を醸造している蔵元と話をすると、たびたび「地元の方に飲んでいただきたい」との思いを伺います。

 群馬の地酒の酒蔵が集まって技術を磨き合う取り組みも行われ、最近では酒質が上がり、専門家や県外での評価が高まっています。昔、飲んだことがあって「こんな感じか」と思われた近所の地酒も、皆さんが気付かない間に進化しているのです。地元農家と連携し、地元の米を使用する取り組みも多く見掛けます。

 どうか、われらが群馬で造られている地酒を、もう一度手に取って、試してもらい、見つめ直していただけたらと思います。

 群馬の地酒は味の幅が広いことが特徴なので、誰でもきっと、自分好みの酒が見つかるはずです。「群馬SAKETSUGU」ではウェブサイトで各酒蔵から集めた約250種類の地酒情報を掲載しています。どれを飲んだらよいか分からないという場合は、お問い合わせください。

 県民の誰もが「群馬の地酒だったら、私はこれが好みだ」と語れるようになることが私の夢です。群馬の地酒をぜひ、再びホームに迎え入れてください。



群馬SAKE TSUGU代表 清水大輔(前橋市文京町)

 【略歴】2004年県庁入庁。産業経済部当時に地酒を担当。18年度に退職後、19年10月に地酒をPRする群馬SAKE TSUGUを立ち上げ。一橋大大学院修了。

 2021/3/30掲載