▼〈瀧(たき)の上に水現れて落ちにけり〉。高浜虚子に師事した俳人、後藤夜半(やはん)のこの句は、滝水の神髄をつかんだ客観写生俳句としてよく知られる

 ▼先日、本県の秘境にある滝を訪ねた際、この句を思い出した。滝は大きく落ちる上段と幅広な岩から落ちる下段の2段で構成され、水量が豊富なため、暑気払いにはうってつけだった

 ▼猛暑が続く。涼を求めて近くの屋外プールに出かけても水温が高いため、長時間水中にいられない。持参した冷たい水でのどを湿しながら、ジリジリ照りつける太陽が恨めしくなる。この暑さ、日本だけの現象かと思っていたら、そうでもないらしい。世界各地も偏西風などの影響で記録的な熱波に見舞われている

 ▼例えば、中東諸国。イラクでは先月末、気温が50度を突破した。エアコン使用などで電力が不足し、停電が頻発。政府は臨時に休日を増やした。一部の地域では給水機能が停止し、反政府デモまで起きた

 ▼熱波による死者はパキスタンで千人、インドで2千人を超えた。オーストリアでは先月、過去約250年で「最も暑い7月」と認定された。イタリアや ドイツのアルプスの山々では氷河が異常な速さで解けているという

 ▼あすは「立秋」。とはいえ、暑さはしばらく続きそうだ。秋の気配の訪れに熱中症対策を忘れることなく、残暑を乗り切りたい。