▼金を出し惜しみする人物を扱った上方落語に『始末の極意』がある。始末とは倹約の意味。吝嗇家(りんしょくか)によるさまざまな倹約方法を盛り込んだこの落語の中でもウナギにまつわる噺(はなし)はよく知られる
 
 ▼かば焼きを商う店から漂ってくる匂いで毎日ご飯を食べていた吝嗇家に月末、店から勘定書きが来る。匂いの嗅ぎ代とある。ならばと、この吝嗇家、小銭をジャラジャラと鳴らす。嗅ぎ代を金で払うのではなく、金の音で請求に応える

 ▼小銭を鳴らせるくらいだから、相応の金は持ち合わせていよう。それなのに匂いだけでご飯を食べるところが吝嗇家たるゆえんだろう。だが、昨今のかば焼きやうな重、うな丼の高値傾向には吝嗇家でなくてもつい匂いだけですませたくなる

 ▼国際自然保護連合(IUCN)が絶滅の恐れがある野生生物を評価したレッドリストで、稚魚の乱獲により資源量が減少したニホンウナギを絶滅危惧種に指定してから1年余り

 ▼これを受けて、日本、中国、台湾、韓国がニホンウナギの資源管理策で合意したり、ウナギ味の養殖ナマズが開発されたり、資源保全に向けた取り組みが進みつつある

 ▼きょうは土用の丑(うし)の日。ことしは来月5日も土用の丑の日となる。世界のウナギの70~80%を消費するといわれる日本。高値をいとわず、2日間で何人もの人が食べるのだろう。