▼このところの炎暑続きに、休みになると、近くのプールに出かける。幼児用、子ども用はそれぞれにぎわっているが、単に泳ぐだけの大人用に健康増進を目指す人はいても、遊泳する若い男女はほとんど見かけない

 ▼一年で最も暑いとされる大暑をあすに控え、思い出す俳句に西東三鬼の〈おそるべき君等の乳房夏来る〉がある。といっても、若い女性でにぎわうプールサイドを詠んだものではない

 ▼俳人、金子兜太さんは監修した日本の名句100句を紹介する書物の中で、夏の代表句10句に戦後間もない時期に詠まれたこの句を選び、次の一文とともに載せている

 ▼「戦争が終わった。戦禍の跡に復興の音が響いている。また、夏が来た。女性たちが歩いている。モンペ服を白いシャツに替えて。その姿がまぶしい―胸元がピンととがっているのだ。戦争は終わった」

 ▼先週の18日、金子さんが書いたメッセージの紙が全国一斉に掲げられた。共同通信社の世論調査で安全保障関連法案の採決に回答者の4分の3近くが「よくなかった」とする中、法案の不当性を訴えた「アベ政治を許さない」だ

 ▼胸元がとがっている白いシャツの女性をモンペ服の時代に逆戻りさせてはならない―。華やかな水着は着けるが、モンペ服を知らない世代も掲げたメッセージ。法案審議の舞台は参院に移る。