▼古来、日本人は闇夜に輝くホタルの光を人間の魂と重ねてきた。〈物思へば沢のほたるも我が身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る〉。和泉式部はその幻想的な光を自分の体を離れてさまよい出た魂に例えた

 ▼ことしは多くの犠牲者を出した太平洋戦争の終戦から70年。本県は520人の命が御巣鷹の尾根に散った日航機墜落事故から30年の節目が重なり、死者を弔う特別な夏になる

 ▼桐生市西久方町の青蓮寺には亡くなった人と心をつなぐ「虹の電話」がある。通常の回線には接続していない。つながりたい人を思い浮かべ、心に浮かんだ番号をダイヤルすると、大切な人につながる特別な電話だ

 ▼話し終えたら、故人に宛てた手紙を書いて「虹のポスト」に投函(とうかん)する。差出人にはインドの聖地で採取した砂とミサンガが届く。これが切れたら、心が十分に通じた証しと受け止めてほしいという

 ▼東日本大震災で被災した岩手県大槌町の個人宅に設置された「風の電話」に共感し、本間光雄住職が昨年9月に設置した。「愛する人との別れにさまざまな思いを抱えるのは被災者だけではない。この電話で救われる人がきっといるはず」

 ▼早世した娘を思い 受話器を取った人。戦死した父に語り掛けた高齢者。県外から訪れた人もいる。残された人たちの胸に愛する人への思いが消えることはない。