▼硫黄臭のする霧、干ばつ、大寒波-。1780年代の欧州はしばしば異常気象に見舞われた。農作物の不作で庶民の暮らしは窮乏し、ついに89年7月14日、パリでフランス革命ののろしが上がった

 ▼83(天明3)年8月の浅間山大噴火がこの革命の遠因になったとする説がある。国内では、噴煙が日光を遮り気温を下げる「日傘効果」で天明の飢饉(ききん)を悪化させ、各地で打ちこわしを招いたとされる

 ▼では欧州にまで影響したのか。同じころアイスランドでラキ火山が大噴火しており、主因はこちらだろう。ただ、両火山の噴出物は偏西風に乗って北半球全体を覆ったと考えられており、決して浅間も無縁ではない

 ▼ごく小規模ながら浅間山が6年ぶりに噴火して間もなく1カ月。火山災害史上、この山は天明の大噴火で知られているが、爆発の規模そのものは1108(天仁元)年の方が大きかったという

 ▼当時、京都の貴族が記した日記『中右記』は、砂礫(されき)が厚く降り積もり上野国の田畑は全滅したと伝えている。このことは、火口から比較的離れた場所でも農業に甚大な被害が生じることを意味する

 ▼大噴火となれば影響は異常気象という形でより長期に、しかも広範囲に及ぶ恐れも大きくなる。きょうはフランス革命記念日。歴史を教訓とし、あらゆる事態を想定して十分に備えておきたい。