▼6月下旬、梅雨の晴れ間を縫うように高崎市に残る三つの古代碑「上野三碑(こうずけさんぴ)」を巡った。上野三碑は7~8世紀に建てられた、いずれも国指定特別史跡の山上碑、多胡碑、金井沢碑の総称。山上碑は母親の追善供養、多胡碑は新たな郡の設置、金井沢碑は先祖供養のための一族の結束を記録しており、古代東国を知る一級史料とされる

 ▼各石碑は鍵がかかった頑丈な建物の中に安置されており、室内が一定時間ライトアップされ、古代人の息吹がガラス越しに見学できる

 ▼三碑については、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産登録を目指し、官民による関係団体が文化的価値をまとめた申請書をユネスコ国内委員会に発送した

 ▼国内委の事務局が置かれる文部科学省によると、三碑を含めて全国から16件の応募があり、うち2件が来年3月にユネスコに推薦され、17年夏ごろに登録の可否が決まる

 ▼高崎市も登録推進事業の一環として、遅れてきた山上、金井沢両碑の周辺整備に取り組んでおり、碑に向かう木道や新たなトイレを年内にも完成させる

 ▼石碑文化は中国や朝鮮半島から伝わり、三碑の建立にも渡来系の人々の影響があったとされる。日韓国交正常化から半世紀がたち、両国関係に雪解けムードが見え始める中、古代を振り返りながら友好関係が進展することを願いたい。