▼ずっしりとした重さから、つくった人たちの強い思い入れが伝わってきた

 ▼高崎市新町の旧官営新町屑糸(くずいと)紡績所に関わる資料を集めた『新町屑糸紡績所資料集~設立の経緯とその後の経営概観』はA4判470ページに及ぶ大冊である。紡績所の顕彰活動を続ける住民団体「よみがえれ!新町紡績所の会」の会員が、8年をかけてまとめた

 ▼富岡製糸場の開業から5年後に官営模範工場として建設された紡績所の変遷や役割などを、各地の博物館、公文書館などに足を運び収集した300点余りの資料で伝えている

 ▼まだ未解明な部分が多い紡績所の今後の研究の基礎資料にと、先行する研究や教科書の記載部分も網羅した。その編集に貫かれているのは、緻密で誠実な姿勢だ

 ▼同紡績所が日本の近代化の原点となる文化財として国重要文化財に指定される見通しになった。以前から専門家の高い評価を得てきたが、「自分たちの遺産」という意識で顕彰普及活動に取り組んできた地元の熱い思いも後押しとなったに違いない

 ▼「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録から間もなく1年。構成資産だけでなく、身近にある絹遺産の価値を再発見する活動が各地で盛んになり、官民による優れた出版物が 続々と生まれている。絹文化が群馬に深く、広く浸透していたからこそ得られる成果だろう。