伊香保神社近くの旧旅館の解体現場。建物の解体作業はほぼ終わった=5日、渋川市

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、宿泊のメインだった団体客が激減したことを受け、個人客への対応を急ぐ群馬県渋川市の伊香保温泉で、観光庁の補助事業を活用したリニューアルが着々と進んでいる。2020年9月に全焼した後に手付かずだった旧旅館の解体作業がほぼ終わり、予定された各ホテル・旅館の改修も6割程度が完了。渋川伊香保温泉観光協会が今月下旬に予定する芸術イベントを起爆剤に、関係者はにぎわいを取り戻したい考えだ。

 市や同協会によると、伊香保温泉の年間宿泊者数は近年100万人台で推移してきたが、コロナ下で観光客が激減した20年は過去最低の67万人まで減少。団体客から個人客への転換はコロナ前からみられたが、一気に進んだという。21年の宿泊者数は1~11月に45万人で、過去最低の更新が見込まれる。

 観光庁は「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」として、観光地全体の取り組みを短期集中で支援。地域の魅力や収益力を向上させる狙いがあり、1地域当たり3億~5億円を補助する。伊香保温泉は市の協力で計画を立案し、昨年6月に全国102地域の一つとして採択され、3億円の交付が決まった。

 全焼した旧旅館は伊香保神社に近く、廃虚と化した建物は石段街の雰囲気を損ねていたが、同事業の活用でようやく解体に。更地にした後は「黄金の湯」を活用した手湯や、ポケットパークの設置などが検討されている。

 一方、個人客の受け入れ強化に向けた改修に取り組む15施設のうち、上毛新聞の取材に9施設が昨年12月末までに完了すると回答した。残る6施設中、4施設は一部が完成している。

 主な改修内容は、露天風呂・温泉付きの客室を設置(玉樹、さくらい旅館、千明仁泉亭、松本楼、大森)、宴会場・会議室を個人客向け食事処に転換(天坊、秀水園、福一、香雲館)など。

 女子浴場の改修で感染対策(石坂旅館)、一部客室を家族向けに改装(ステイビューいかほ)、大浴場増設(ひびき野)、バリアフリー化推進(美松館、ぴのん)、眺望の良い部屋に改装(塚越屋七兵衛)などもあり、2月末には全てが完了する見通し。

 同協会は24~30日、アーティスト滞在型の芸術イベント「渋川アートリラ」を開催する予定で、これを呼び水に活気を取り戻したい考えだ。施設改修やイベントを磨き上げることなどにより、23年には宿泊客数でコロナ前の110%、観光消費額は115%とする目標を掲げている。