▼春の陽気に誘われて太田市の金山(239メートル)に登ってみた。大光院近くから山道に入って50分ほど。復元の進む金山城の高く積まれた石垣、大手虎口(おおてこぐち)が目に飛び込んでくる

 ▼1469年の築城から1590年の廃城まで一度も落とされなかった堅固さがうかがわれる。大手虎口を抜けて進むと、実城(みじょう)と呼ばれる本丸。八百有余年、歴史を見守ってきたと伝わる大ケヤキもある

 ▼50代の市内男性は幼稚園のころ遠足で訪れ、友だちと手をつないで幹の周りを  囲んだことがあるという。多くの市民が共有する思い出かもしれない

 ▼太田市、尾島町、新田町、藪塚本町が 合併した新太田市は28日でちょうど“10歳”。合併の2年後、2007年の調査で「残しておきたい」と思う市内の景観として、他を20ポイント以上引き離し、最も支持を集めたのが「金山とその周辺」だった

 ▼最後の尾島町長を 務めた相沢邦衛さん(75)は金山の存在も含めて「歴史的裏付け」が合併できた 要因の一つとみる。28日公開の太田市合併10周年記念映画「群青色の、とおり道」に出演する 宮崎美子さんは旧4市町に「新しい古里」ができたとのメッセージを寄せている

 ▼太田市だけでなく当時は「平成の大合併」が進み、県内は 70市町村が35市町村になった。変わらないもの、変わったものに思いをはせるのもいい。