▼〈世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし〉。この世に桜というものがなかったら、春をのどかに過ごせるだろうに。和歌の名手、在原業平が詠んだように、開花や満開、落花などに心を動かす季節がやって来た

 ▼ことしの桜花の季節は、きのうの10道県知事選告示で幕を開けた第18回統一地方選と重なる。桜前線が北上するこの1カ月間、日本列島の各地で立候補者の訴えが響き渡る

 ▼本県でも前半戦として来月12日に県議選の投開票が、26日には後半戦として9市町村長選、21市町村議選(補選除く)の投開票が行われる。県内35市町村のうち25市町村で首長、議員の選挙がある予定だ

 ▼今回の統一地方選では、若い女性の減少で将来消滅の可能性がある「消滅可能性都市」と指摘された多くの自治体で選挙が行われる。県内でも地域崩壊が危惧される20市町村のうち14市町村で選挙があり、地域再生、人口減少対策が大きなテーマとなりそうだ

 ▼地域消滅回避の鍵を握るのは国の施策であり、そこに住む人々の知恵、地域住民の代表であることは言うまでもない。活性化に向けた熱い論戦が求められるゆえんだ

 ▼選挙戦が低調に終われば、危惧される事態が一層現実味を帯びてくる。せっかく見事な花をつけても、これを愛(め)で、心を 動かす人がいなくなってしまっては桜も泣こう。