▼まだ1年もたっていないので、記憶にとどめている人も多かろう。昨年6月の東京都議会での出来事だ。女性議員が一般質問で妊娠や出産に関する都の支援策を尋ねていたところ、議場からやじが飛んだ。「早く結婚しろ」「産めないのか」

 ▼このセクハラやじに欧米のメディアが飛びついた。女性都議の「小学生でさえ誤っていると分かる、時代錯誤の中傷」という声とともに、やじ問題を詳報。「性差別的な暴言」「セクハラ発言の集中砲火」とこぞって批判した

 ▼外国メディアが関心を寄せたのは、男女雇用機会均等法が職場での性的言動の防止を義務付ける中、日本の首都の住民代表の一部が公の場で示した、女性への配慮に欠ける男性中心的な視点への驚きからだろう

 ▼最高裁はきのう、大阪市の水族館の男性管理職が部下の女性にセクハラ発言をしたことをめぐる訴訟で、出勤停止の処分は「重すぎる」と無効にした二審判決を破棄し、妥当だったとする判決を言い渡した

 ▼セクハラ防止を指導すべき管理職が弱い立場の派遣社員の女性らにみだらな発言を繰り返し、不快感を与えたのは不適切だったと指摘。女性への配慮を欠いた発言を強く戒めた

 ▼言葉は「身の文(あや)」といわれるように、その人の人柄や品性を表す。最高裁の判決は言葉によるセクハラ防止の引き金となるのか。