「おいしいお店ができたからみんなで行こうよ」「おしゃれなお店ができたから一度行ってみようか」。よくある何げない会話の一つです。私も行ってみたいなぁと当然思いますが、真っ先に頭に浮かぶことがあります。「入り口の段差は大丈夫? トイレは車いすでも入れるの? 座敷? テーブル席?…」

 このような心配事が常に頭をよぎります。飲食をするということは必然的に「トイレ」を利用することも多くなります。10年前と比べると障害者用トイレの設置は急激に進んでいますので、大変ありがたいです。

 しかし、障害者用トイレの設置は大型店舗や公共施設、真新しい大手コンビニエンスストアや駅、駅ビルなどに限定されていて、まだまだお店にトイレがないことが多いのです。

 私はこのような質問をすることがあります。「皆さんはトイレがないお店にみんなで集まって飲食をしようと思いますか?」。すると「そのお店は選ばないし行かないでしょ」という回答が出ます。

 段差があるために入れない、段差がなくてもトイレが利用できない…。私たち車いすユーザーはみんなと一緒に飲食することができない環境のため、お店選びに困ることが多いのです。都会に電車で仕事に行くと駅周辺には飲食店がたくさんありますが、入れるお店は数軒。入れたとしてもトイレは利用できないので、ついトイレの回数を少なくしようと食事や飲み物を取ることを我慢してしまうのです。

 「オムツをして出掛ければいいんじゃない?」との話もありますが、赤ちゃんもオムツが汚れれば泣いて知らせてオムツを交換します。車いすの私はその汚れたオムツをどこで交換すればいいのでしょう?。トイレが利用できないとオムツが交換できません。

 お店側も多目的トイレの設置が資金面や賃貸物件などのためすぐに対応できない理由もあることでしょう。でも、すぐ近くの公園や隣のお店に障害者用トイレがあるという情報を把握しておき、その情報を車いす利用者に伝えることができれば、お店の中にトイレがなくても安心して食事ができるようになる人もいます。今すぐにトイレの設置ができなくても情報でカバーすることが可能となります。

 もちろん、最終的にはどのお店のトイレも全ての人が利用できるトイレ環境とすることがとても大切です。超高齢化社会を考えれば、高齢者は3600万人以上で要介護者は1千万人以上いますし、車いすユーザーは200万人以上います。持続可能な開発目標(SDGs)や共生社会の視点から考えても、これからのトイレは「みんなが利用できることを当たり前とした設置基準」となる日がすぐそこまできているのかもしれませんね。



DET群馬代表 飯島邦敏(伊勢崎市戸谷塚町)

 【略歴】2011年に希少難病の慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)を発症。16年に車いす利用者でDET群馬を立ち上げ、18年から代表。伊勢崎商業高卒。

 2021/3/8掲載