▼サンゴ礁の島に「高崎湾」と呼ばれる入り江がある。高崎15連隊にちなむ。フィリピンの東、グアムの南西に位置するパラオのペリリュー島。木々がうっそうと茂る丘から眺める海は青く穏やかだった

 ▼日本軍が玉砕したその島を訪ねたのは7年前の夏。県遺族の会の慰霊の旅に同行し、生々しい戦跡を巡った。島は1200メートルの十字滑走路がある軍の重要拠点で、高崎15連隊を中心に編成した守備隊が米軍を迎え撃った

 ▼1944年9月、太平洋各地の連戦連勝で勢いづく米軍は3日でペリリューの戦いを終わらせる計画だったが、日本軍の巧みな地雷や洞窟に誘い込む戦術で約70日続き、日米双方が約1万人の死傷者を出した

 ▼来年の戦後70年に当たり、パラオを天皇、皇后両陛下が慰霊訪問する。19日まで来日していたパラオのレメンゲサウ大統領は「全世界に対し戦争を繰り返さないという 強い意志を示すものになる」と意義を強調した

 ▼パラオは親日の国だ。1914年の第1次世界大戦勃発に伴い、日本はパラオを含む南洋群島を占領。22年には群島 全体を管轄する南洋庁本庁が置かれ、日本文化が広がった。英霊も少しは安らげるか

 ▼ペリリューには戦車や大砲がそのまま残り、洞窟内などの遺骨も埋もれたままだ。「狂気の戦場」からの両陛下のメッセージ効果に期待したい。