子どもを巡る大きな問題の一つに体力低下が挙げられます。これに伴って「生きる力」の低下も懸念されています。

 子どもたちのスポーツ環境は現在、3極化しています。スポーツを好まない子、1種目のみ行っている子、外遊びと複数種目を行っている子です。この中で、青少年期になってから最もスポーツ能力が伸びるのは、外遊びと複数種目をしている子だというデータがあります。

 私は63歳ですが、われわれ世代は子どもの頃、放課後になると外で2時間以上遊んでいました。友達とルールを考えて鬼ごっこや野球、サッカーなどを楽しんだ人は多いでしょう。そこに大人の姿はなく、子ども同士で自由に遊んでいました。

 こうした子どもたちの遊びの環境に大人が関わるようになったのはいつからでしょう。そして、地域の公園で事故が発生するたびに、遊具が「危険だから」という理由で撤去されていきました。しかし、このことがより一層危険度を高めているということを大人は知るべきです。

 新型コロナウイルスの感染拡大前、私は毎年ドイツ各地を訪問していました。現地の公園の看板には「子どもたちはけがをする権利がある」と記されています。これは当然、子どもがけがをしても良いという意味ではありません。「さまざまな遊具を活用して全力で外遊びをしよう」という意味です。遊具の下の地面などは、けがをしないよう工夫されています。

 このような環境で大人として大切なのは、子どもたちを見守る姿勢を貫くことです。欧米には、指導者ではなくプレイリーダーと呼ばれる人がいます。遊び方について少しだけヒントを与えて、後は子どもたちが楽しめるように仕向けて見守る地域の大人たちです。

 日本の子どものスポーツ環境には、低年齢時から大人の過干渉が要因となって勝利至上主義が横行しているケースがあります。自発的に身体活動を楽しむことが不得意な子どもも見受けられます。中学生以上で指導者がいないと練習できない人は、幼少期から小学生までの時期に大人が全てを指示して練習してきた人たちです。最近の部活動はやや改善されており、青少年が自分たちで練習メニューを考え活動している学校もありますが、まだ少数派です。

 自発的に考え、スポーツを楽しむことができる青少年を育むために最も大切なことは、大人は見守り、幼児期から子どもたちだけで外遊びやスポーツをたくさん体験できる環境です。私は、子どもたちと一緒に楽しく外遊びとスポーツができる地域づくりを考えています。なぜならば、未来を託す子どもたちの生きる力を育みたいからです。

 次回は、休日部活動の地域移行について考えます。

 【略歴】旧国鉄職員として10年、群馬大職員として30年勤務した後、2000年に自身が中心となって総合型地域スポーツクラブを開設した。藤岡高(当時)卒。