▼ロシアの作家トルストイの『戦争と平和』が初めて英語から日本語に翻訳されたのは1914(大正3)年。この年はまた、ドストエフスキーの『罪と罰』のロシア語からの初邦訳が誕生したことでも記憶される

 ▼日本で海外文学の本格的な翻訳が始まるのは明治半ばのこと。大正年間に入ってロシアの文豪の作品が相次いで翻訳されたことからロシア文学への関心が高まり、これを引き金に日本に「世界文学」が浸透していく

 ▼ホメロス、ダンテ、セルバンテス、シェークスピア、ゲーテ…。原語に通じていなくても古今東西の作品に親しめる翻訳文学はこの1世紀の間、日本人の心の糧となってきたと言っても過言ではない

 ▼この翻訳文学も含めてだろう、現代人の読書量が減っている。先ごろ公表された文化庁の2013年度「国語に関する世論調査」によると、65.1%の人がそう回答している

 ▼減っている理由は「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」「視力など健康上の理由」「携帯電話やスマートフォンなどの情報機器で時間が取られる」などだ

 ▼折から読書週間(来月9日まで)。シェークスピアと同一人物の説もある英国の政治家・哲学者ベーコンが書き残した言葉を思い起こしたい。〈読書は充実した人間をつくり、会話は気がきく人間を、書くことは正確な人間をつくる〉