▼「十五秒プラス六十年」。12月に生誕120年を迎える人間国宝の陶芸家、浜田庄司が、大皿の釉(くすり)掛けを見た人から「あまりに速過ぎて物足りなくはないか」と問われ、応じた言葉だ(「一瞬プラス六十年」)

 ▼世界的に評価される独自の陶芸世界が築かれるまで、卓越した能力に加え、気の遠くなるほど長く、厳しい精進が 重ねられたのである

 ▼青色の発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大終身教授、天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授がノーベル物理学賞に決まった。記者会見での発言を聞いて、勇気づけられた人が多いのではないか

 ▼85歳の赤崎さんは、LEDの前の半導体研究も含めれば、研究期間は60年にも及ぶことを明かし、こう振り返った。「どんどんやめていく人がいたが、私は成否は考えず、やりたいことをやっていた。(略)なかなか結果が出なくても、やり続けることが大事だ」

 ▼天野さんの「人の役に立ちたいと思ってやってきた」「最も平均的な日本人である私でも賞をとれるのだから、若い人の励みになる」との言葉も印象深い

 ▼中村さんは、研究の原動力は「怒り」だと述べた。独創的な研究には自由な環境が必要だとし、怒りをばねにしてきたという。それぞれの信念と持続力が画期的な業績につながった。