▼『陸軍前橋(堤ケ岡)飛行場と戦時下に生きた青少年の体験記』という本をひょんな縁で頂いたのは1カ月余り前のことだった

 ▼旧群馬町(現高崎市)に旧陸軍の前橋飛行場があったことを知ったのはその近くに移り住んでから。田畑に戻った跡地に道路を通すための埋蔵文化財の調査が行われ、説明会に出かけてみて歴史の一端に触れた

 ▼飛行場は1943年に建設が始まった。「国家のために」ということで田畑は強制買収された。そこで訓練を受けた特攻隊員が移動先の九州から沖縄に出撃し、戦死したことなども知った

 ▼そんな経緯もあり、本を興味深く読んだ。編著者の鈴木越夫さんは前かみつけの里博物館長で44年生まれ。飛行場と戦争に関わる資料編と飛行場周辺に住んでいた人などの体験記編の2部構成で、500ページ近い本は持ち重りがする

 ▼出版を思い立ったのは講師を務めた歴史講座で受講者から戦時中の体験を次世代にという声が上がったため。中・高校生でも読めるように難読 文字にルビを振り、傷や悲しみを背負って復興に取り組んだ世代がいたことを若い人は忘れないでほしいという願いを込めた

 ▼終戦の日から69年。戦後生まれの日本人は昨年10月時点で1億人を超え、総人口の79・5%に達している。戦禍の記憶をつなぐ試みはますます貴重なものになっている。