▼富岡製糸場の集客効果だろう。桐生天満宮周辺の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)や桐生織物記念館に首都圏からの観光客の姿が目立つようになった

 ▼桐生と製糸場を巡るバスツアーの参加者は女性が多い。添乗員によると、織物商の旧邸宅を改装したレストランでの食事と絹製品などの買い物が人気。「もっと桐生を見たい」との感想が寄せられているという

 ▼世界文化遺産を目指す中、桐生は構成資産の候補にもならなかった。しかし、京都西陣とともに日本を代表する織物産地であることは間違いない。繊維関係の事業所は約700、計3千人がいまも伝統を守っている

 ▼無鄰館の北川紘一郎さんは「桐生をぜひ世界遺産に」と訴え続けている。絹文化は養蚕、製糸、織物が一体となって発展してきた。桐生が世界遺産に拡張登録されるよう、関係機関に働き掛けたいと力を込める

 ▼桐生は子育て世代の市外流出が止まらず、人口減少が県のおよそ2倍のスピードで進んでいる。子どもの数は減り、この6年間で小中9校の校名が統廃合によって消えてしまった

 ▼北川さんは地域再生の切り札が世界遺産だと説く。「『古都京都の文化財』のように市全体が登録されれば、織物以外の魅力も生かした大きな青写真が描ける」。活動に対し、冷ややかな声もある。だが、北川さんにあきらめる気はない。