▼県産牛肉「上州和牛」が今月、欧州に輸出された。ロンドンで開かれた試食会で高級ホテルのシェフは、それまで流通していた日本国外産の“和牛”との違いを高級ブランドバッグと偽物の関係に例え、「舌触りなど比較にならない」と絶賛した

 ▼欧州連合(EU)は昨年、日本産牛肉の受け入れを認めた。米国などに比べて厳しい欧州基準を満たすため、玉村町の県食肉卸売市場は施設を改修。先月下旬、国内で初めて国産牛肉のEU向け輸出工場として厚生労働省に認定された

 ▼第1便は英国とオランダ向けに上州和牛のロースとヒレ肉計約480キログラム(12頭分)を出荷。同市場は本年度、400頭分の輸出を計画している

 ▼和牛の輸出は1990年代初めに本格化。だが2000年以降は口蹄(こうてい)疫や牛海綿状脳症(BSE)の発生と度々憂き目を見てきた。11年3月の原発事故では風評被害にもさらされた

 ▼県産牛肉の輸出は11年度にゼロとなったが12年6月から順次再開し、13年度は17・2トン。逆風をはね返し、販路も米国の他に香港、カナダ、シンガポールと広がっている

 ▼和食がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、日本の食文化への関心が高まっている。先陣を切って欧州に輸出された上州和牛が高級ブランドとして浸透し、現地の食通たちをうならせる日が来ることを期待したい。