さまざまなロボットが動作を実演するチームロボのショールーム=昨年12月、前橋市

 案内ロボットに導かれて席に着いた来場者の元に、配膳ロボットが飲み物を運んでくる。好きな種類を選んでモニターの確認ボタンを押すと、配膳ロボットは待機場所へ静かに戻っていく―。2021年12月中旬、群馬県前橋市の商業施設「アクエル前橋」内に開設されたサービスロボットのショールームでの一幕だ。

 「子どものころからドラえもんやガンダムが好きだった。人間とロボットが共存する世界を提案していきたい」。ショールームを運営する設楽印刷機材(同市野中町)の設楽剛史専務(41)は話す。

 同市は人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用した未来型都市「スーパーシティ」指定を目指し、国に申請中だ。設楽氏は世の中のデジタル化の流れと歩調を合わせ、ロボットが日常生活に溶け込む近未来の地方都市社会の実現を思い描く。

非接触

 少子高齢化に伴う人手不足に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴って浸透した非対面・非接触サービスの需要は今後、さらに拡大すると予想されている。特に外食業界では、ロボットを活用した非接触サービスへの転換が進むことは必至だ。

 同社は、コロナ下で深刻な人手不足に見舞われた医療機関から除菌ロボットの相談を受けたことがきっかけに、ロボット事業「チームロボ」を昨夏に立ち上げた。国内外のメーカーと代理店契約を結び、これまでに医療機関や飲食店、ホテルなど県内外10カ所以上にロボットを納入した。

 ロボットは段差に弱く、施設内に一定の広さがないと動き回れない。そのため同社は、手狭な施設が多い都心部よりも、群馬県のような地方でこそ浸透しやすいとみる。現在は顧客に合わせたロボットのカスタマイズを実現するため、地元のシステム企業との協議を進め、新機種としてアーム付き掃除ロボットの取り扱いも検討している。

集客効果

 ショールームでは、複数のロボットが実際に動いているところを間近に見ることができる。「ロボットは言葉で説明してもなかなか伝わらない。実際に見て、体感してほしい」(同社)。この日、ショールームの前を通り掛かった3人の女子高生は好奇心から足を踏み入れ、配膳ロボットからお茶を受け取ると、「かわいい」「自宅にほしい」と口々に話した。

 ほかにも、会津喜多方らーめん新田店(太田市新田市野井町)は昨年12月に配膳ロボット2台を導入した。運営会社の榎沢一浩社長(46)は「これまでは人材定着が課題だったが、ロボットを活用することで、少ない人数で店を回せるようになった。長期的にみれば人件費削減にもつながる」と期待を込める。ロボットによる集客効果も見込み「ネコ型のかわいらしいロボット。ぜひ会いに来て」と呼び掛けている。

 【メモ】サービスロボットは、工場などで稼働する従来の産業用ロボットとはコンセプトが異なる。飲食店などで使われる接客ロボットの場合、相手が違和感や恐怖心を抱かないように親しみやすいデザインが採用されている。動作空間を人間と共有するため、自然なコミュニケーションや安全への配慮、状況変化への対応も求められる。人工知能(AI)の発達を受け、災害対応や医療介護、清掃、警備といった各方面での導入が進みつつある。