▼国際宇宙ステーション(ISS)で日本人初の船長を務めた若田光一さんが地球に帰還した。国際協調で宇宙開発に取り組む時代。大役を果たした日本人飛行士への評価はさらに高まるに違いない

 ▼若田さんが船長として大切にしたのは「和の心」だった。地上ではウクライナ情勢で米ロ関係が緊迫する中、両国の飛行士が“呉越同舟”する、ISSという“運命共同体”を「和の心」でリードした

 ▼「和の心」という言葉に十七条憲法の〈和をもって貴しとなす〉を想起した人は少なくないだろう。飛鳥時代の言葉が現代の宇宙飛行士にも受け継がれていることにその普遍性を感じる

 ▼十七条憲法は、憲法といっても主に官僚が守るべき規範を示した訓戒集のようなものだった。だが今日、憲法といえば、国家の基本法をさす。その日本国憲法が岐路に立っている。安倍晋三内閣による集団的自衛権の行使容認に向けた動きだ

 ▼首相は、密接な関係にある国が攻撃を受けたとき、日本が直接攻められていなくても反撃できる集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更へと一歩踏み出した。変更する理由は日本周辺の安全保障環境の変化という

 ▼「武の心」には「武の心」で対抗する道を開く行使容認。人や国と協調し、互いの主張をうまく調和させる「和の心」はいまの地上では通用しないのだろうか。