▼4月は日本新聞協会販売委員会が制定する新聞閲読月間。同協会の「2013全国メディア接触・評価調査」によると、新聞を読んでいる人は83・6%。朝刊に接するのは平日26・1分、休日で29・3分だという
 
 ▼読者のニーズに応えて情報を発信するのが新聞の役割だが、文字を詰め込めばいいというものではない。紙面を開けば適度に空白を設け、読みやすくするレイアウトの工夫を感じてもらえるだろう

 ▼芸術の分野でこの「余白の美」を追求したのが、江戸時代の狩野派を代表する狩野探幽(1602~74年)だった。日本画壇に君臨した永徳の孫で、弱冠15歳で幕府の御用絵師になった天才だ

 ▼永徳が画面からあふれんばかりの豪壮な作品で戦乱の世に好まれたのに対し、余白を生かして品良く納まる画風を開拓。天下太平の江戸時代にふさわしい穏やかな美の世界を確立した

 ▼探幽と2人の弟、尚信と安信の作品を紹介する「探幽3兄弟展」が19日から高崎市の県立近代美術館で開かれる。探幽の南禅寺「群虎図襖(ふすま)」をはじめ、襖絵や屏風(びょうぶ)など70点で3兄弟の画業を検証する

 ▼新しい年度が動き始めた。進学や就職、転勤により新天地で胸をふくらませている人は多いだろう。けれども何ごとも無理に詰め込むのは禁物。無意味な空間ではない、余白の美を考える余裕を心に持ちたい。