▼だれにでも思い浮かぶ心象風景がある。収蔵作品から風景を描いた日本画を集めた「風景を訪ねて」が3月23日まで、高崎市タワー美術館で開かれている

 ▼山や川、田畑をテーマに、横山大観、平山郁夫、高橋常雄らがそれぞれの感性で捉えた江戸末期から現在までの50点余りが並ぶ。現実の風景というよりは、景色の記憶であったり、画家の心のなかで再構成された風景だという

 ▼なにげなく眺めている景色も季節や時の流れ、気象の変化によって違った趣をつくりだす。豪雪に見舞われ、空っ風が吹きつける雪景色に、いつになく冬の厳しさを感じる。雪かきをくり返し、雪解けを待つ日々

 ▼ふだんとは違った日常に、見慣れた風景が表情を変えていく。自然の猛威にさらされた情景をどう心にとどめるか。突然降った大雪に、多くの人が春の訪れを待ちわびていることだろう

 ▼童謡の『春よ来い』を作詞した相馬御風は新潟県糸魚川市に生まれた。雪に閉ざされた越後の光景か。歩き始めた「みいちゃん」の目で表現した詞から、春を待つ思いが伝わってくる。「つぼみもみんなふくらんで はよ咲きたいと待っている」…

 ▼きっと雪深い故郷が詞の原風景になったのだろう。豪雪から冷気に包まれ厳寒の続いた県内も徐々に気温が上がり、季節の移り変わりを感じさせる。「春よ来い 早く来い」―。