最優秀作品賞に選ばれた「偶然と想像」の一場面((c)2021 NEOPA / fictive)
浜口竜介監督(高崎映画祭提供)

 高崎映画祭委員会(須藤賢一委員長)は14日、第35回高崎映画祭の受賞者・作品を発表した。最高賞の最優秀作品賞は、浜口竜介監督の「偶然と想像」が選ばれた。コロナ下で製作関係者が集まれない中、最小の態勢で映画の本質的な魅力を表現した点が評価された。同映画祭は3月25~31日に高崎芸術劇場など市内3会場で開催される。

 昨年の同映画祭がコロナ下で中止となったのを踏まえ、一昨年と昨年に国内で公開された邦画約750点を対象とした。志尾睦子プロデューサーは「撮影や上映が止まり、関係者は大変な思いで映画に向き合ってきた。製作環境を見直すなど、小規模でも丁寧に作られ、作家性に優れた作品が並んだ」と総評した。

 「偶然と想像」は偶然をきっかけに展開する短編3本で構成し、俳優の繊細な演技を丁寧に映した。渋川市出身の俳優、渋川清彦さんも出演している。

 浜口監督は共同脚本を手掛け、群馬県でもロケが行われた「スパイの妻」が、2020年のベネチア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞。昨年公開の監督作「ドライブ・マイ・カー」は、今年の「第79回ゴールデン・グローブ賞」で非英語映画賞を受賞するなど、米アカデミー賞に向けた賞レースを席巻している。

 高崎映画祭では19年に「寝ても覚めても」で、最優秀監督賞を受賞。今回の最優秀作品賞は大作の「ドライブ―」が最有力候補だったが、昨年12月に公開されたばかりの「偶然と想像」が「コロナ下で生まれた希望」と絶賛された。

 最優秀主演俳優賞も「偶然と想像」の占部房子さんと河井青葉さん、「ドライブ―」の西島秀俊さんが受賞し、浜口監督作品に出演した3人が独占した。

 最優秀監督賞は「いとみち」の横浜聡子監督、高崎市でロケが行われた「由宇子の天秤(てんびん)」の春本雄二郎監督が受賞した。「いとみち」は青森県を舞台に津軽三味線が得意な女子高生の青春を描き、「由宇子の天秤」はドキュメンタリーディレクターの主人公が女子高生いじめ自殺事件の真相を追う物語。

 映画祭は1987年から毎年開催し、コロナ下で昨年は中止、一昨年は授賞式のみで上映はなかった。