▼「うとうとと生死の外や日向(ひなた)ぼこ」(鬼城)。暖房器具は進化し、保温能力の高い衣料も増えて寒い冬もしのぎやすくなった。だが、日差しを浴びながらくつろぐひと時は、いつも変わらぬ幸福感をもたらしてくれる

 ▼辞書を引くと「日向ぼこ」は「日向ぼこり」の略で、転じて「日向ぼっこ」になった。「座布団を猫に取らるゝ日向哉(かな)」は谷崎潤一郎の句。人間にも動物にも、暖かな日だまりは“特等席”であるに違いない

 ▼寒さが募るほど春の到来が待ち遠しい。桜の開花予想もそんな心の表れなのかもしれない。四季は規則正しく巡り、放っておいても花は咲くが、その時期を思い、早くから心浮き立つ

 ▼一方で、今年は消費税増税の春ともなる。「八五三すくすく育つ消費税」「増税は壇蜜よりも悩ましい」。オリックスの「マネー川柳」入賞作にあった。ユーモアの中に、浮かぬ気分も漂う

 ▼安倍晋三首相は先週開会した通常国会を、経済の「好循環実現国会」と銘打った。消費税率引き上げに備え、対策を盛り込んだ2013年度補正予算と14年度予算の成立を急ぐという

 ▼共同通信世論調査では、73%の人が景気回復を実感していない(27日付本紙)。高収益、雇用拡大、所得向上、消費増…四季のごとく好循環してこそ実感できる“生活の春”だろう。寒さを吹き飛ばす一段と暖かな日の光がほしい。