年末年始はよく飲んだ―。普段はあまり飲まないが、「もう一杯」と家族にも勧めた。酒ではない。牛乳のことである

 ▼酪農・乳業の業界団体が学校給食のない冬休みに牛乳の原料となる生乳が全国で約5千トン廃棄される可能性を指摘した。県内でも業界団体やスーパーが消費拡大を促し、岸田文雄首相が牛乳を飲むように言及する異例の国民運動となり廃棄を免れた

 ▼コロナ禍で業務向け脱脂粉乳など乳製品需要が落ち込み、原料の生乳を処理し切れないことが要因の一つ。だが酪農を身近に感じる意識が希薄になっていた社会の中で、あぶり出された課題ではないか

 ▼酪農家に泊まり込んだことがある。乳量は日々変化した。牛ごとに乳量差があるほか、ストレスである時から量が減った牛もいた。搾乳しなければ乳房の病気になってしまうため、水道の蛇口のように瞬時に調整できない

 ▼農林水産省によると、本県は生乳生産量(2020年)で全国5位の酪農県である。酪農教育ファームなど牛と触れ合う機会を増やし、酪農を理解する人を地道に増やすことに力を入れてはどうだろう

 ▼前回の牛乳余り騒動は06年。業界が減産に動き、それから2年後に海外の需給逼迫(ひっぱく)も重なり、バター不足に陥った。酪農家が導入する子牛が母牛となって乳量に反映されるのが1~2年後。国産を買い支え、自国の生き物からいただく恵みを大切にしたい。