酒類鑑評会で最優秀賞を受賞した町田酒造店の町田社長(左から2人目)、牧野酒造の牧野専務(右端)ら=昨年11月(関東信越国税局提供)

 近年、群馬の地酒のレベルが上がっている。昨年11月の関東信越国税局酒類鑑評会では、3部門のうち2部門で群馬の酒蔵が最優秀賞を受賞する快挙を成し遂げた。技術向上のため、若手経営者らが酒造りの根幹に関わる情報も共有し、各蔵が切磋琢磨(せっさたくま)してきたことで品質が高まってきた。コロナ下で酒蔵は厳しい経営を強いられているが、群馬の地酒を盛り上げる動きも活発化している。

 同鑑評会には、酒どころの新潟や長野を含め6県の187蔵が参加した。群馬県からの参加は15蔵だったが、最優秀賞に、吟醸酒の部で町田酒造店(前橋市)の「清嘹(せいりょう)」が、純米酒の部で牧野酒造(高崎市)の「大盃(おおさかずき)」がそれぞれ輝いた。同鑑評会では3年連続で群馬県の蔵が最優秀賞を受賞するなど、上位入賞が定着している。

 背景には約20年にわたり、研さんを重ねてきた酒蔵や技術者の努力がある。各蔵の杜氏(とうじ)が高齢化したことや後継者が戻ってきたことなどから、酒蔵有志が2003年に技術の向上・定着を目的に群馬産業技術センターと「群馬清酒研究会」を立ち上げた。

 設立に関わり、技術指導もしてきた聖徳銘醸(甘楽町)の西岡義彦顧問は「1社の頑張りでは限界がある。県全体のブランド力を引き上げる必要があった」と当時を振り返る。

 09年には研究会を「醸衆会」に発展させ、醸造中のタンクの温度や、その年のコメの特性など従来なら企業秘密として囲い込んでいたデータも共有。各蔵を訪問し合って互いの技術を見せ、研さんを続けた。

 町田酒造店の町田晶也社長は「20年間の一歩一歩の積み重ねでようやく花が咲き始めた」と力を込める。醸衆会には加わっていない牧野酒造の牧野顕二郎専務も「みんなで真剣に酒造りに取り組んできたことが結果に結び付いている」と、互いに刺激し合うことで、レベルが底上げされた状況を説明する。

 そんな群馬の地酒の魅力を発信するため、県職員だった清水大輔さんは県を退職後、19年に「群馬SAKETSUGU(サケツグ)」を設立。県内酒蔵の経営者や造り手が酒造りの苦労や醍醐味(だいごみ)を語る動画をインターネットで配信している。各種団体のPR活動も受託する。

 県酒造組合の青年部「稲水俱楽部」は大学生による地酒のPR動画コンテストを開き、若い世代への働き掛けを強化。県はベーコンやチーズなどの県産食材と、地酒をペアリングしたセットを販売し、消費喚起に力を入れる。

 県酒造組合の吉田幸雄会長は「若手が酒造りを頑張り、質が向上している。群馬の地酒がさらに注目されるよう頑張るので、群馬の皆さんも手に取って応援してほしい」と呼び掛けた。

県内の清酒 消費量減も製造は健闘

 県内の清酒の消費量は減少しているものの、製造量はほぼ横ばいを維持してきた。国税庁によると、消費量は2009年度の9724キロリットルが19年度に6587キロリットルと約3割減少した一方、製造量は2770キロリットルから2623キロリットルへの微減にとどまった。

 県酒造組合は、近年は海外や県外での販売に力を入れる酒蔵も多くなっており、それが製造量の維持につながっている可能性があるとみている。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、20年度の製造量は1975キロリットルまで落ち込んだ。

 同組合は、コロナ下で飲食店への販売が激減し、各酒蔵は厳しい経営を強いられていると指摘。「おいしくて個性的な県内の蔵の酒を自宅や飲食店で楽しんでほしい」としている。